焼き物の種類

あなたは焼き物に興味がありますか?
焼き物と聞くと、「なんだか難しそう」「良さがいまひとつ分からない」と敬遠してしまう人もいるかもしれませんね。
全国の陶器には「○○焼」と呼ばれるたくさんの焼き物があり、ときにものすごく高額な値段で販売されているため、一歩引いてしまうのも仕方ないかもしれません。
でも、普段の暮らしの中をよく見回してみると、焼き物に触れない日はないくらい、私たちの身の回りには焼き物があふれています。

毎日の食事に使うお茶碗や湯のみ、コーヒーカップ、それに食器に限らずお風呂のタイルやトイレの便器、庭に出れば植木鉢などなど・・・
焼き物で出来ているものは、意外に身近に存在しているのです。

さてこれら焼き物ですが、大きく分けると土器、陶器、磁器、石器の4つに分類されます。
また、これら焼き物を全般に陶器と呼ぶこともあります。
全国の陶器には産地によっていろいろな焼き物がありますが、それぞれの特徴は以下の通りです。

土器は縄文・弥生時代から始まった焼き物のことで、粘土を原料として比較的低温で焼かれ、もろく壊れやすいです。
また吸水性がある上、普通は釉薬などをかけないので、水などを入れておくのにはむきません。
現在目にするもので言うと、植木鉢などがあります。
陶器も粘土を主原料とした焼き物ですが、こちらは釉薬を用いて器の表面にガラス質の層を作ることで水漏れを防いでいます。
陶器は磁器に比べてもろいため、厚手のものが多く、指ではじくと鈍い音がします。
代表的なものは益子焼や唐津焼、美濃焼などです。
磁器は陶石が原料の磁土でできた焼き物で、焼き上がりが硬く、薄手で繊細な器に仕上げることができます。
素地が白く、透光性があります。
代表的なものに九谷焼、有田焼、砥部焼などがあります。
石器は陶器と磁器の間の性質を持っており、備前焼、信楽焼、伊賀焼などの焼締がそれに当たります。
  

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焼き物の原料

全国の陶器にはいろいろなものがありますが、有名なものであれば、誰でもその名前を聞いたことがあるでしょう。
それぞれの特徴は知らなくても、これらの焼き物が何で出来ているのかは大体予想がつくと思います。
そうです、焼き物は土を原料として作られています。

焼き物の原料となる土には、粘土と陶石があり、粘土は陶器を作るために使われ、陶石は磁器を作るための原料となります。
●粘土
 粘土は陶器をつくるための陶土に使われます。
 しかし粘土はそれだけで作ると、乾かしたり焼いたりするときに大きく収縮してひび割れたりゆがんでしまうことが多くあります。
 それらの欠点を補うために、珪石(けいせき)と長石(ちょうせき)を混ぜて使います。
 珪石は土の粘り気を調整する役割を持ち、長石は1000度以上の高温で周囲の成分を溶かしてガラスを作ります。
●陶石
 陶石は磁器を作るための磁土の原料となります。
 主成分は珪酸(けいさん)で、これは白磁鉱と呼ばれる石英粗面岩(せきえいそめんがん)を微粒子状態にまで砕いた白い粉状のものです。
 しかし主成分である珪酸が、成形した形を維持する性質を邪魔してしまうため、これに良質の粘土を混ぜて使います。
 ただ、数ある全国の陶器・磁器の中には、粘土を混ぜなくても磁器の原料として適しているものもあり、それが熊本県の天草石です。

また、焼き物全般を広い意味で陶器と呼ぶのと同じように、焼き物作り用に調整した土のことを単に粘土と呼ぶこともあります。
  

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器選び

皆さんは家庭の食器を選ぶとき、どんな点に注目して購入を決めていますか?
今や百円ショップでもお茶碗が買える時代ですが、数ある全国の陶器の中からこだわりの逸品を手に入れるべく、あちらこちらへと探し求める人もいることでしょう。
全国の陶器市などが開催されていれば、そちらへ出かけてみるのもお値打ちな掘り出し物と出会えるかもしれませんね。

さて、食器を選ぶときのいくつかのポイントをここで紹介したいと思います。
まず、おしゃれな雰囲気にこだわらず多目的に使えて飽きのこないシンプルなデザインのものから揃えることをおすすめします。
使い道も考え、熱いものを盛り付けるなら磁器よりは陶器、など用途に合わせて選ぶことも大切です。
始めは形や模様がシンプルなものを使い、しだいに趣の凝ったものを揃えていくことで、楽しみも増えていきます。
次に家族に合わせた器選びをすることです。
小さな子どもがいる家庭では、実用面を重視して選びたいですし、お年寄りには重い器は避けたいところです。
また、家族全員が同じ器でなくてもいいと思います。
大きさがほぼ揃っていて、それぞれに味わいがある器なら、わざわざ5客セットの器を買うより楽しい趣向になるでしょう。
実際に購入するときには、ぜひ両手でその器を持って重みや硬さ、手ざわりの良し悪しを感じてください。
裏返して見て、器の安定感も確認しましょう。

いい食器を選ぶには、焼き物を好きになり、それぞれの特色を知った上でたくさんの器を見て回り、目を養うことです。
和食器の専門店を回って情報収集したり、趣味の合う仲間と陶器市に出かけたりして、楽しく器選びをしてください。
  

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焼き物の部分の名称

全国の陶器には、地域によって素材や模様、形に特徴があって興味深いものですが、その焼き物の部分名を覚えることで、さらに興味がわくことと思います。
例えば全国の陶器市にでかけ展覧会などで器を観賞するときに、部分の名称がわからないと、係の人や一緒に行った仲間との話も要領を得なくなってしまいます。
そこで、ここでは茶碗を例にとって各部分の名称についてお話したいと思います。

まず口をつけるところを「口」もしくは「口縁(こうえん)」と言います。
外側は「胴」で底近くが「腰」、腰のすぐ下で底へ向かって曲がっているところが「高台脇(こうだいわき)」、底のでっぱりにくっついている部分が「高台際(こうだいぎわ)」です。
中のお茶が入る部分は「見込み」、底のお茶が溜まるところは「茶溜まり」です。
茶碗の下の部分には丸い底がついている場合が多いのですが、これは「高台」と言います。
ひっくり返して底部分の輪の中を「高台内(こうだいうち)」、高台の接地部分を「畳付き」と言います。
お抹茶をいただくお茶会などでは、茶碗を畳に置きますよね。
そのため茶碗の一番底にこの名前が付いたと言われています。
高台の模様などにそれぞれの焼き物の特徴があらわれていることも多いので、茶碗を手にとって各部分を眺めてどこの焼き物なのかを判別できるようになると、ベテランですね。

また茶碗だけでなく壺や瓶(かめ)にも各部分に名称があります。
上から口、頸、肩、胴、腰ときます。
物を入れておく部分が胴になるわけですが、その壺の形によって胴長のものもあれば、胴が短いものもあります。
  

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小久慈焼

数ある全国の陶器の中から、ここでは東北の焼き物、小久慈焼を紹介したいと思います。
素朴な土臭さを残している小久慈焼は、江戸時代の後半に岩手県久慈市で開窯したと言われています。
当初は久慈焼と呼ばれていたのですが、良質な粘土がとれる小久慈に窯を移してから小久慈焼と呼ばれるようになったそうです。

小久慈焼は、そのしぶみと素朴さを持つ釉薬が認められて、八戸藩の御用窯を務めていました。
しかし時代は流れ、明治時代に八戸藩からの援助もとだえてしまうと、藩窯から民窯へとその形を変えて行ったのです。

小久慈焼の印象として言えることは、有田焼や久谷焼のような装飾品としての華やかさはありませんが、素朴で温かみのある焼き物であるということです。
地元の久慈周辺から出土する久慈粘土や、小久慈白土などの陶土を生かして作られた焼き物は、まるで東北女性の肌のように白っぽい土味を見せてくれます。
小久慈焼は伝統的なろくろ成形でひとつひとつ手作りで、鉄釉や飴釉などの茶色の釉薬と、もみ殻の灰を利用した糠白釉(こうはくゆう)と呼ばれる乳白色の釉薬が施されます。
どっしりとした厚手の器に趣のある釉薬がたっぷりとかけられたその姿は、朴訥とした東北人の気質をあらわしているようにも感じられます。
全国の陶器にはいろいろありますが、その印象も土地柄をあらわしているのですね。

また小久慈焼では主にほのぼのとした趣のある茶器や花器、酒器から、ぼってりとした量感のある片口やすり鉢といった日常雑貨が中心となっています。
人々の生活に密着した焼き物と言えるかもしれません。
  

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平清水焼

全国の陶器の中でも東北地方の焼き物は素朴でどこかしら土臭い印象のものが多いのですが、平清水焼は東北には珍しく洗練された色合いと独特な肌触りが特徴となっています。
平清水焼は山形県山形市平清水の大地主が、笠間焼の陶工である小野藤次平を招いて地元の土を使って陶器を焼かせたのが始まりと言われています。
江戸時代の後半からは伊藤藤十郎や渡辺五兵衛らにより、それまで粗陶器が中心だったところに磁器を焼くようになってきました。

美しい磁器の生産に成功した平清水焼は、白地に青色の絵付けをした皿や茶器、酒器など食器類を盛んに作るようになり、一時は数ある全国の陶器の中でも「焼き物と言えば有田か平清水」と言われるほどの称賛を浴びていました。
しかし時代が明治から大正に移るころには陶器が中心となり、火鉢やかめ、徳利などが焼かれるようになりました。
器の色も、透明感にあふれた白地から、鉄釉を主体にした茶色に変わっていきました。

さて平清水焼の特徴として挙げられるのは、何と言っても「梨青瓷(なしせいじ)」でしょう。
これは青緑色の器の表面に梨肌のような黄色の斑点が浮き上がっているもので、そのザラザラとした感触と、一般的な青磁とは異なった落ち着いた色合いが魅力となっています。
また梨青瓷と並んで平清水焼の特徴とされているのが「残雪」と呼ばれる釉薬です。
この残雪釉は平清水を代表する釉薬のひとつで、艶消しの白釉によるものです。
釉薬のかかり具合によって水墨画のようなきれいな濃淡があらわれることもあり、上品で端正な器の形をいっそうひきたててくれます。
雪国である山形県にふさわしいネーミングですよね。
  

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益子焼

全国の陶器をたずねてその地を旅したことはありますか?
関東屈指の窯場である益子では、町の中に焼き物の販売店はもちろん資料館や公園も存在し、陶郷としての姿を見せて旅人を楽しませてくれています。

その益子の焼き物、益子焼と言えば、厚手でどっしりとした茶碗や皿が思い出されるのではないでしょうか。
益子焼の特徴は、民芸調と言われ鮮やかな色彩や細やかな図柄もなく、地味で飾り気のない素朴な色合いとなっています。
窯を開いた当初から、皿や壺、茶碗といったお茶の間で使われる日用雑貨を中心に焼かれてきました。
毎日の生活に密着した焼き物なのです。
全国の陶器にはそれぞれの代表作のようなものがありますが、益子焼では側面にのびやかな筆運びで山水などが描かれた土瓶が代表となっています。

益子焼の一番の特徴とされる、厚手でどっしりとした手ざわりは、栃木県内から出土する新福寺粘土などの気泡性を持つ荒い陶土に木節粘土を加えた土によるものです。
釉薬には木や石を原料にした自然釉が用いられ、特に透明な色合いの並白釉(なみじろゆう)や乳白色の糠白釉がかけられることが多いです。
他には地元特産の芦沼石を原料にした茶褐色の柿釉(かきゆう)や黒釉(こくゆう)などもあります。
装飾技法としては、釉薬をほどこした器の表面に刷毛を使って化粧土をかける刷毛目や、指で簡単な模様を描く指描などがあります。
また鉄や銅などを用いて土瓶や茶碗に山水や植物を描く、鉄絵や赤絵なども益子焼の特徴のひとつとなっています。
  

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笠間焼

全国の陶器の中でも名前の知れた益子焼や平清水焼ですが、これらの焼き物の陶祖が実は笠間焼の技術を学んでいたそうです。
つまり笠間焼は益子焼よりも古い歴史を誇っているのです。
江戸時代の中ごろに、信楽の陶工であった長右衛門(ちょうえもん)が茨城県のこの地を訪れ、久野半右衛門(くのはんえもん)と共同で窯を開いたのが笠間焼の始まりと言われます。

笠間焼の特徴は、と聞かれると「特徴が無いのが特徴」と答える人も多いと思いますが、笠間焼では民芸風の徳利から斬新な花器まで、個性豊かな作品が魅力となっています。
焼かれる器は主に安価で丈夫な水瓶やすり鉢、徳利など庶民の生活に密着したものが中心となっていますが、最近では斬新なデザインがほどこされたコーヒーカップや絵皿など、多種多様にわたって焼かれています。
最近の傾向としては、若い陶芸家の手によって、芸術的なオブジェや陶壁なども焼かれているようです。

笠間焼のどっしりとした手ざわりは、関東ローム層から出土する笠間粘土や花崗岩の風化によってできた鉄分を多く含む蛙目粘土(がいろめねんど)と呼ばれる陶土によるものです。
その陶土を丹念に練り、ろくろを回し手びねりという技法を使って、ぽっちゃりとした丸みを持たせ手にぬくもりを感じられる器が生み出されます。
笠間焼で主に使われる釉薬には緑釉、柿釉、飴釉、黒釉、糠白釉があり、これらの釉薬の持ち味を引き出すくすり掛けとして、流し掛けや浸し掛けなどがあります。
これらの技法を駆使して、伝統的な壺からクラフト調のカップ、織部風の皿まで、さまざまな個性にあふれた笠間焼が誕生するのです。
全国の陶器の特徴を集約したのが笠間焼だ、とも言えるかもしれません。
  

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月夜野焼

みなさんは月夜野焼(つきよのやき)という焼き物の名前を聞いたことがありますか?
とても美しい名前に魅かれて調べてみると、全国の陶器の中でも月夜野焼はまだまだ歴史が新しく、昭和50年からと言われています。
当時、群馬県利根郡月夜野町を散策していた陶芸家の福田祐太朗が偶然にも上越新幹線のトンネル工事現場から排出される土の中に焼き物に適した土を発見したのが始まりだそうです。
福田氏のふるさとである有田焼の技法を参考にして、その後の研究を重ねて月夜野焼を完成させました。
これが群馬県最初の本格的な焼き物である月夜野焼です。

月夜野焼では、マグカップや飾り皿、一輪差しなどの日用雑貨から芸術性の高いオブジェまで幅広く焼かれています。
独特の滑らかな肌ざわりは、新幹線のトンネル工事で排出された磁器質流紋岩(じきしつりゅうもんがん)などを混ぜた月夜野陶土によるものです。
また月夜野焼をいろどる情熱的な赤やしぶい緑色は、銅を基本にした釉薬・銅紅釉(どうこうゆう)によるものです。
釉薬の特徴として、燃え立つ炎のような真っ赤な辰砂釉(しんしゃゆう)、赤と緑の微妙なコントラストが孔雀の羽根のように美しい孔雀釉、光沢を消して緑青のしぶい色合いをかもし出す青銅釉などがあります。

数ある全国の陶器の中でも、新幹線のトンネル工事から生まれた焼き物というユニークなものは他にはないでしょう。
現在、この地域では陶芸教室なども開かれ、隠れた観光スポットにもなっているようです。
  

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釉薬について

ここまでいくつかの焼き物について紹介をしてきましたが、全国の陶器にはそれぞれの土の違いや工法、釉薬の違いによって特徴が異なってくることがわかりました。
そこで、ここでは釉薬について少しお話をしたいと思います。

全国の陶器で有名な町を訪れて、焼き物のお店に入って器を手にとってみても、例えば緑色のとろりとした色がかかっていたり、真っ黒だったり、図柄があったり、と茶碗ひとつをとってもどれも同じではありません。
これは形もさることながら、かけてある釉薬が異なるからです。
釉薬とは焼き物にかけるうわぐすりのことで、陶磁器の表面にくっつけたガラス質の皮膜のことを言います。
この釉薬をかけて焼くことで吸水性をなくすと同時に装飾性を与えます。
釉薬の成分はガラスの成分の一つである長石(ちょうせき)、アルカリ性溶液、浸透性のないアルミニウムなどが含まれています。

釉薬にもいろいろあり、色での分類で言うと、緑釉(りょくゆう)、黄釉(おうゆう)、褐釉(かつゆう)、黒褐釉(こっかつゆう)などがあります。
緑釉は鉛緑釉と銅緑釉があり、成分は違いますがどちらも緑系の色を示します。
黄釉は灰釉(かいゆう)という灰を原料とした釉薬を高温で溶かすと灰の成分が黄色になるという方法です。
茶色系の褐釉は、鉄釉という鉄分から色をとる釉薬から取り出したりします。
例えば、「緑がかっているから織部かな」と、織部の特徴が緑釉にあるとこなどを知ると、また焼き物を見るのも楽しくなってくるでしょう。
  

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